「盛土撤去の行政代執行」ニュースより

2024.8.28
令和3年7月に起きた熱海市伊豆山土石流災害を受け、令和5年に宅地造成等規制法の一部を改正する法律(令和四年法律第五十五号)が施行されました。
そして今月、この法改正以降全国初となる盛土撤去の行政代執行が決まったというニュースを拝見しました。
内容は、福島県の私有地に積み上げられた高さ約22mの土砂の一部を、県が盛土規制法に基づく行政代執行で撤去するというものです。
行政代執行とは、代替的作為義務の不履行(今回の場合、法律に基づき県が命じた義務を履行しない)がある場合に、行政庁(県)が義務者に代わって義務者のなすべき行為をし、その費用を義務者から徴収することで、行政上の強制執行の一種です。
行政代執行法に基づき行われます。
戒告(法律により禁止されていますよ、いついつまでにやらないと代わりに強制執行しますよという通知)があった後も義務者が義務を履行しないことで、代執行令書(予定されている時期、執行代表者の氏名、費用の概算の通知)が発せられ、いよいよ代執行が行われる訳です。かかった費用は当然義務者に納付義務があり、期限内に納付しない場合は国税を滞納した場合と同じく財産の差し押さえが行われます。
熱海の土石流災害では、私の家族がよく知る方が何名か犠牲になりました。
私自身も年に数回車で現場を通りますが、災害があった後1ヶ月くらいは周辺の家の壁や店先のシャッターに黒い泥が大量に付着し、その爪痕を肌で感じました。献花台が撤去された今でも、現場となった川の小さな橋を通る際には心が痛みます。
一部では人災とも表現された熱海の土石流災害。その教訓を生かし、二度と同じ悲しみが起きないよう祈りつつ、今回の福島県の行政代執行についても注目していきたいと思います。